2011年10月31日

7章 NP、IF、TSS、四分円分析法

Training and Racing with a Power Meter 2ndからの引用(要約)です。

平均値だけでは正確な運動負荷は分かりません。これは、同じ200ワットでも、インターバルトレーニングを繰り返した場合と、イーブンペースで走った場合の運動効果を比較しても明らかです。そこで私たちは新たに指標を考えました。NP:標準パワー(Normalized Power)、IF:運動強度(Intensity Factor)、TSS:練習ストレス(Training Stress Score)の3つです。さらに四分円分析法(Quadrant Analysis)を加えることによって、トレーニング量を定量化することができるようになります。

NP:標準パワー(Normalized Power)
実際にバイクに乗ると、風の強さや上り下りなどの要因によりパワー変動は非常に大きくなります。平均パワーだけでは練習効果を十分に説明することはできないため、私たちは統計的な手法により標準パワー(NP:Normalized Power)の指標を作り出しました。
これは例えば、あるレースでの平均パワーが319watts、標準パワーが357wattsの場合、運動強度としては、357wattsの一定速度で走ったのと同じ負荷があったとみなすことができます。パワーの上げ下げの幅が大きいほど、標準パワーは平均パワーよりも大きくなります。

IF:運動強度(Intensity Factor)
IFはNP値をFTPで割った値です。IFと運動強度の関係は以下のとおりです。

0.75以下 リカバリー
0.75〜0.85 耐久(エンデュランス)
0.85〜0.95 テンポ(2.5時間以内のロードレースペース)
0.95〜1.05 LT(長いTT)
1.05〜1.15 短いTT
1.15以上  トラックレース

TSS:練習ストレス度(Training Stress Score)
TSSは、練習強度と継続時間を指標化したもので、練習毎に算出します。FTP強度で1時間の運動をしたときのTSS値を100とします。TSSと疲労度の関係は以下のとおりで、練習プランの調整に役立ちます。

TSS 150以下 翌日にはリカバリーが完了
TSS 150〜300 疲労が翌日に残る。翌々日にはリカバリーが完了
TSS 300〜450 2日後にも疲労が残る
TSS 450以上 数日間は疲労が残る

四分円分析法(Quadrant Analysis)
自転車競技では、筋力そのものよりも神経筋の方が重要な役割を果たすことがありますが、そのための分析方法が四分円分析法です。
筋神経の能力とは、いかに速く、強く、長く筋肉を動かすことができるかを意味し、特に自転車の場合はペダリングの動きを指します。筋神経の能力を表す指標の一つがケイデンスですが、さらに、ペダルにかかるパワーとペダルの回転速度を分散布図に表示したものを分析することが有効です。
FTPは継続可能なパワーと言うだけでなく、速筋を使い始めるパワーであることが分かっています。従って、FTP値とその時の回転数を入力することによって、分散布図を4分割し、分析に生かすことができます。(縦軸がペダルにかかるパワー、横軸がペダルの回転スピード)
新しい画像.bmp

T(右上):強力で高回転
スプリントやアタック、ブリッジで観測されます。
U(左上):強力で低回転
登坂でギアが必要以上に重い場合に観測され、速筋をかなり使用します。
V(左下):弱力で低回転
リカバリー程度のペダリングをしている場合に観測されます。大集団で軽くペダリングしているときにも観測されます。
W(右下):弱力で高回転
レースで観測されます。

四分円分析法(Quadrant Analysis)とパフォーマンス
ウェイトトレーニングで筋力を強くしても、自転車レースでは効果が出ません。これは、力(force)とパワー(power)の混同から来るものです。実際に、FTPでは筋力の25%程度しか使用されず、スプリントでも55%程度しか使用されません。
トライアスロンの練習では、高負荷を持続させるトレーニングとして、45〜75回転で重いギアを5〜20分間回す練習が行われることがありますが、筋力アップするほど重い負荷を得ることはできず、効果がないことが明らかになっています。
以上の結論は、四分円分析法による考察から導くことができます。


posted by Hiro at 11:15| 愛知 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする